パッとしない写真には理由がある|主役をひとつ決めるだけで変わること

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「これだ」と思って撮ったのに、後で見返すとなんとなく物足りない。

そんな写真、手元にたまっていませんか。

構図が悪いわけでも、露出が大きく外れているわけでもない。でもなぜか、なんとなくパッとしない、ふわっとした印象の写真。スマホやPCのアルバムを開くたびになんの印象もなくさっと流してしまう写真が、じわじわ増えていく感じ。

私自身、そういう写真を量産していました。目に入ったものを撮る。きれいだと思ったものを撮る。おもしろい場面だと感じたものを撮る。実際目で見たときの感情は写真にはうまく乗り移らない。撮ったそばから「なんか違う」という感覚が残る。

撮りたいものを撮ったはずなのに、何を撮りたかったのか、自分でも少し曖昧な写真。あとから見返しても、どこを見ればいいのか分からない。そんな写真が続くと、なんとなく「自分は写真が下手なのかな」と思ってしまうこともあります。

そんなモヤモヤした感情が変わったのは、「主役を決める」という習慣を持ってからです。新しいカメラを買ったわけでも、撮り方を1から勉強したわけでもありません。ただ、シャッターを押す前に「主役」を意識するようにした。それだけで、写真の見え方はずいぶんと変わりました。

今でもパッとしない写真は増えていっています。ただ、自己満ではありますが、前よりは撮ったときの感情が乗った写真が撮れるようになったと感じています。

今回はそんな写真の「主役」についての話。

目次

主役がない写真は、どこを見ればいいか分からない

主役がはっきりしない写真
主役がはっきりしない写真
主役が一目瞭然の写真
主役が一目瞭然の写真

写真を見るとき、人の視線は自然と「明るい場所」や「周囲と異なる場所」に引き寄せられます。これは、視覚心理学の分野でも確認されていることで、アイトラッキング(視線追跡)という技術を使った実験でも、写真を見た人の視線が特定の場所に集まることが示されています。

写真の構図と視線の関係を調べた研究もあり、論文を読んだ私の解釈では明確な被写体とそこに誘導する導線があると鑑賞時間が長くなり、写真の魅力が増すという傾向があるようです。

難しい話に聞こえるかもしれませんが、要するに「見る人の目がどこへ行けばいいか、ちゃんと道案内できているか」という話です。

主役が決まっていない写真では、その道案内が見つかりません。背景も目立つ、被写体が複数ある、情報があちこちにある。視線が泳いで、写真全体がなんとなく「パッとしない」印象になります。

これは技術の問題ではなく、「何を見せたいか」が決まっていないことが原因です。どれだけ露出を合わせても、構図を意識しても、主役が曖昧なままでは写真の印象は弱くなります。

逆に言えば、主役さえ決まっていれば、多少ほかの部分が雑でも写真はちゃんと「伝わる」ものになります。技術より先に、意識を変えるだけでいい。そう私は思っています。

主役はひとつでいい

写真の中の主役は、ひとつに絞るだけで印象が大きく変わります。

あれもこれも写したくなる気持ち、よく分かります。せっかく目の前にあるのだから、全部写しておきたい。でも、そこで思い切って主役をひとつに決めることで、見る人が迷わない写真になります。

「全部を見せる」よりも、「一番見てほしいものを決める」

たとえば、テーブルの上に並んだ朝ごはんを撮るとき。コーヒー、トースト、果物、すべてをきれいに収めようとすると、どれも主役に見えない写真になりがちです。でも「今日はこのコーヒーカップを撮る」と決めると、ほかのものは自然と脇役になります。写真の意図が一気にはっきりしてきます。

難しく考える必要はありません。「今、自分が一番気になっているのはどれか」。その基準で決めれば十分です。

写真がパッとしない原因の多くは、「足しすぎ」にあると思っています。

主役を引き立てるために意識していること

主役を決めたあとは、その主役を「きちんと見せる」ための工夫が大切になります。難しいことではなく、少し意識するだけで変わることばかりです。

背景を整理する

主役と背景がはっきり分かれたチューリップの写真

主役を決めても、背景が目立ちすぎると視線は分散してしまいます。主役に向かおうとする目が、目立つ背景に引っ張られてしまうからです。

不要なものが写り込んでいないか、シャッターを押す前に少しだけ確認してみる。立ち位置を変えるだけで背景が変わることは多いですし、少し寄るだけで余計なものが画角から外れることもあります。大きな動作は必要ありません。少し動くだけで、背景はずいぶん整理できます。

余白をつくる

余白を意識したベンチの写真

主役のまわりに少し余白があると、視線が自然とそこに集まります。

ぎゅっと詰め込んで「主役を大きく見せよう」とするよりも、少し空間を残す。それだけで、写真に落ち着きが生まれます。余白は「何もない場所」ではなく、主役を引き立てるための空間です。

「少し物足りないかな」と感じるくらいがちょうどいいことが多いと私は思います。窮屈な写真よりも、余裕のある写真のほうが、見る人がゆっくり主役を見ることができます。

光で主役を見せる

光も主役を引き立てる大切な要素です。

光が当たっている場所には、自然と目が引き寄せられます。明るい部分には視線が集まり、暗い部分はそっと引いていく。これを意識して、主役に光が当たるように立ち位置やタイミングを選ぶと、背景に手を加えなくても主役がはっきりしてきます。

光と影を強調した階段の写真

以前、光を先に探してから被写体を決めるという以下の記事を書きました。

「主役を決めること」と「光の場所を意識すること」は、どちらも非常に大切なこと。光のある場所を見つけて、そこに主役を置く。あるいは、主役に光が当たる瞬間を待つ。どちらのアプローチでも、写真の印象は変わってきます。

日常の写真こそ、主役を決める

子どもの横顔の写真

特別な場所でなくても、写真は撮れます。むしろ日常の中で写真を撮るときほど、「主役を決める」意識が大切になると感じています。

旅行先や特別なイベントでは、被写体そのものに力があります。でも部屋の中、近所の公園、家族との何気ない時間を撮るときは、「何を撮るか」を自分で決めなければなりません。周りが主役を用意してくれるわけではないからです。

だからこそ、「今日はこれを撮ろう」と決める意識が活きてきます。

たとえば、子どもが寝ている場面を撮るとき。「部屋の様子」を撮ろうとすると、何でもない記録写真になりがちです。でも「子どもの横顔」を主役に決めると、同じ場面が全然違って見えてきます。

日常は、いつでも同じように見えて、二度と同じ瞬間はありません。「今日はこれを撮る」と決めることは、その瞬間に何を見ていたかを残すことでもあります。

主役を決めることは、「今、自分が何を見ているか」を意識することでもある気がしています。日常の写真が積み重なっていくと、それがそのままひとつの記録になっていきます。

主役を決めることから始めてみる

写真がパッとしないときは、たいていの場合、主役が曖昧になっています。

主役をひとつ決める。それだけで、写真はぐっとシンプルにわかりやすくなります。

全部を写そうとしなくていい。「一番見てほしいもの」を決めて、背景を少し整えて、余白を残して、光のある場所を探す。どれも難しいことではありません。

「今、自分が一番気になっているのはどれか」。それだけを意識してシャッターを押す。そのひと手間が、写真を変えていくと思います。

主役を決めることに慣れてくると、今度は「どこを削るか」も気になってくると思います。
次回は、写真の「引き算」についても書いてみようと思います。

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