足すより、引く。|写真の印象をシンプルに変える「引き算」の話

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写真を撮ったあとで、「なんだかイメージと違う」と感じたことはないでしょうか。

心が動いた瞬間を撮ったつもりなのに、いざ撮った写真を見てみるとなんだか普通に見える写真。そういう経験、一度はあるのではないかと思います。

私自身、そういった写真をよく撮ってしまいます。どこに行った、何を食べたなど、あとから見返してわかるなら最低限いい写真ではあるのですが、どうせ撮るなら、もっとその時感じた気持ちも写真に乗せられるといいなと感じます。

そんなときに意識するようになったのが、「引き算」という考え方です。すべてを写そうとするのではなく、必要なものだけを残す。それだけで、写真はぐっとシンプルになります。

今回はそんな写真の「引き算」についての話。

目次

印象が薄い写真には理由がある

背景を気にせず撮った写真
背景を気にせず撮った写真
背景を整理して撮った写真
背景を整理して撮った写真

印象が薄い写真、多くの場合は「情報が多すぎる」状態になっています。

雑多な雰囲気が良い場合もありますが、背景にいろいろなものが写っていたり、主役以外にも目立つ要素があったり。色や明るさがバラバラなことも、視線を散らす原因になります。

人の目は、見たいものを自然と選んで見ることができます。目の前の景色から「これを見たい」という部分だけを切り取って認識できるので、実際の場面ではそこまで気になりません。でも写真はそうではありません。カメラは目に見えているものをそのまま写してしまうので、意識しないと情報はどんどん増えていきます。

背景の電柱、テーブルの上の余計なもの、端に少しだけ写り込んだ誰かの手。そういうものが積み重なって、写真の印象が薄くなっていきます。だからこそ、情報を減らしてシンプルにするという意識が大切になります。

「引き算」は写さないものを決めること

写真をシンプルにするためには、「足す」よりも「減らす」ほうが効果的です。

主役を決めることが「何を見せるか」だとすれば、引き算は「何を見せないか」を決めることだと思っています。

足すことよりも、減らすことのほうが勇気がいることもあります。私はよく観光地などでこれとこれを一緒に写しておこう、とつい思ってしまうクセがあります。せっかく来たんだから、しばらく来れないから、そういった感情が減らすことを邪魔します。

でも一度やってみると、少ない要素で成立している写真のほうが、ずっと見やすいと気づくと思います。

すぐにできる、4つの引き算

引き算といっても、特別な技術は必要ありません。少し意識を変えるだけで、すぐに取り入れることができます。

まずフレームの外に出す

砂浜の写真

まず一番シンプルな方法は、写したくないものをフレームの外に出すことです。

少し立ち位置を変えるだけでも、背景は大きく変わります。右に半歩動くだけで邪魔な柱をフレームから外せたり、しゃがむだけで青空を背景にできたりします。ファインダーやモニターを眺めながら、「これは必要か?」と一度確認してみる。その習慣ができると、写真の印象はかなり変わります。

もう一歩だけ近づいてみる

木のみ写した写真

被写体に近づくだけで、余計な情報は自然と減っていきます。

近づくというのは、自分の足でも、レンズで少しズームしてもいいです。

引いた位置から撮ると、主役の周りにある背景や余白がたくさん写り込みます。一歩近づくだけでそのぶんが画角から外れ、主役がよりはっきりと見えるようになります。

私自身、広角レンズが難しいと感じるところはこういったところにあります。広角は引いて撮るのが得意なぶん、余計なものまで写り込みやすい。近づくことを意識しないと、情報が多くなりすぎてしまいます。広角レンズをうまく扱える人は、引き算が自然とできているんだと思っています。

難しく考えず、「もう一歩だけ近づいてみる」。それだけでも十分効果があります。

背景を味方につける

背景の情報が多い写真
背景の情報が多い写真
背景の情報が少ない写真
背景の情報が少ない写真

背景がシンプルだと、主役は自然と引き立ちます。壁や空、影など、情報量の少ない場所を背景に選ぶだけでも、写真の印象は大きく変わります。

私自身が最近実感したのは、息子の記念撮影のとき。白いマットの上に寝かせて撮った写真は、それだけで背景がシンプルになり、子どもの表情だけに目が向く写真になりました。周りの余計なものを片付けるだけでも、同じ効果があります。

背景を整理することは、主役に使える「視線の余白」を増やすことでもあります。

光も引き算のひとつ

影を使って背景整理した写真

光が当たっている部分は強調され、影の中にあるものは自然と目立たなくなります。

これをうまく使うと、余計なものが写り込んでいても、暗い部分に置くことで視線を引きにくくできます。

「どこに光があるか」を意識することで、見せたい部分だけを浮かび上がらせることができます。光を使って引き算する、という感覚です。

日常は引き算の練習場

家で作ったお好み焼きの写真

日常の場面には、余計な情報がそこら中にあります。部屋の中のもの、テーブルの上のもの、背景の壁に貼ってあるもの。だからこそ、「これは外せるか」を考える機会が自然と増えます。

たとえば、キッチンでコーヒーを淹れているとき。背景を壁だけにして、余計なものをフレームの外に出す。それだけで、同じ場所の写真がまったく違って見えます。

引き算を意識すると、何気ない日常の中でも、すっきりとした写真が撮れるようになります。そしてすっきりした写真は、あとから見返したときに「何を見ていたか」がはっきり伝わります。日常の中で繰り返すうちに、引き算の感覚は自然と身についていきます。

まず、ひとつ外してみる

印象が薄いと感じる写真は、たいていの場合、「足しすぎている」ことが多いです。

そんなときは、一度引き算してみる。写さないものを決める。フレームから外す、近づく、背景を選ぶ、光を使う。どれも難しいことではありません。

全部を見せなくていい。大事なものだけを残す。そのひと手間が、写真をわかりやすくしてくれます。

「何を見せるか」を決めたら、次は「何を見せないか」を決める。その両方が揃ったとき、写真はずいぶんシンプルになると思います。

色もまた、引き算できる情報のひとつです。モノクロ写真の話もよければ読んでみてください。

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