写真にノイズがあってもいい!|表現としてのノイズの活用法

撮った写真を見返しているとき、撮影時には気にならなかったノイズが乗っていて、「なんかノイズが目立つなぁ…」「せっかくいい写真なのに、ちょっと残念…」と感じた経験はありませんか?
たしかに、ノイズは写真にとって「悪」であり、できるだけノイズの少ないクリアな写真がいい写真という考え方もあります。カメラの高感度耐性の向上、画像編集ソフトのノイズ除去機能の高性能化に伴い、ノイズの少ない写真が当たり前になった今だからこそ、余計にそう感じてしまうかもしれません。
でも、その「ノイズ」、本当にあってはいけないのでしょうか?
私は写真にノイズがあっても問題ないと思っています。むしろあえてノイズを加えることもあります。
今回はこの「ノイズ」について、私がそんなに悪いものではない。と思う理由についてまとめてみました。
この記事を読んで、
◯ノイズはそんなに悪いものでもない
◯表現方法としてノイズが活用できる
そう思っていただけると幸いです。
前提:写真におけるノイズについて
デジタルカメラにおけるノイズは、主に2種類あります。
- 高感度ノイズ:本記事で対象としているノイズ
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ISO感度が高いと発生するノイズ
※画面全体に現れるザラつきや色ムラのこと - 熱ノイズ(長時間ノイズ)
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シャッタースピードが長い場合にイメージセンサーが熱を持つことで発生するノイズ
※部分的に現れるゴミのような点のこと
熱ノイズについては、特殊な状況(星空撮影時など、数分間シャッターを開け続けるような状況)で発生するノイズであるため、今回は割愛します。

写真のノイズ、本当に「悪いもの」?
前述したように、写真における主なノイズはISO感度を上げすぎた際に発生するものです。
手ブレするためシャッタースピードを下げられない、絞りもこれ以上開けられない、でも光量が足りない、そんな時にISO感度を上げすぎてノイズが発生するというのがよくあるパターン。
ただ、最近のカメラは高感度耐性の高いものも多く、ISO感度を多少上げてもノイズが出にくいため、いざノイズが出ると余計に目立ち、気になってしまいます。
では、ノイズは「悪いもの」か…と考える前に、まずはノイズが目立つ写真を見てみましょう。
皆さん、次の写真を見てどう感じますか?



これらの写真は、私が以前フィルムカメラで撮影した写真になります。
粒子状のノイズがはっきりと見えると思いますが、私は柔らかい印象、懐かしい雰囲気を感じ、味があっていいと思います。
一概にノイズが乗っている写真がダメというわけではなく、解像度の良い写真とはまた違った魅力があるということが実感いただけると幸いです。
あえてノイズを追加してみる
ノイズは写真の雰囲気を変えることができる
そう考えると、あえてノイズを追加することは表現方法としてアリです。
ノイズを加えることによる印象の変化
実際にデジタルで撮った写真にノイズを加えることで、どのように印象が変わるか見てみましょう。
※クリックして拡大してみてください。


いかがでしょうか?
元の写真の鮮明な写真もいいですが、ノイズを加えることで柔らかい・懐かしい雰囲気を感じませんか?
このようにデジタルカメラで撮った写真でもノイズを加えることで、フィルムカメラで撮ったような雰囲気をプラスすることは可能です。
ノイズを追加する方法
このようなノイズはLightroomやPhotoshopなどの現像・編集ソフトを使うことで、ノイズの濃さや粒子感などコントロールして加えることができます。
Lightroomでの設定方法
Lightroomにおけるノイズの設定は、効果タブで行います。効果タブ内の「粒子」「サイズ」「粗さ」の3つの項目の数値を変更することでノイズの質感を調整できます。
【それぞれの項目の調整イメージ】
- 粒子:ノイズの濃さ(コントラストの強弱)
- サイズ:ノイズの大きさ(解像度の良悪)
- 粗さ:ノイズの質感(ザラつきの強弱)
ちなみに先ほどのたこ焼き屋台の写真には、下記の設定でノイズを追加しています。

粒子:75
サイズ:50
粗さ:50
あえてノイズを追加した作例
実際に過去に撮った写真にあえてノイズを追加してみました。






かなり強めにノイズを追加していますが、案外悪くないと感じる方もいるのではないでしょうか?
ノイズを加えるのとあわせて、色味も調整できれば、さらに雰囲気を変化させることも可能です。
ノイズは立派な表現方法の1つ
今回は写真におけるノイズについて、単に画質を低下させる「悪者」ではないことをまとめてみました。
色味や構図と同じように、ノイズも写真の印象を変える要素の1つです。あえてノイズを加えることで、写真の雰囲気をガラリと変えることができます。
記録としてのリアルな写真とはズレていくかもしれませんが、表現の幅を広げることができます。
皆さんも鮮明な写真だけでなく、あえてノイズのある粗い写真も楽しんでみてはいかがでしょうか?

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