色のない世界は魅力があふれている|モノクロ写真は面白いという話

いつも見ている風景や景色が色を抜くと別世界のように感じられる。モノクロ写真にはそんな魅力があります。
普段はカラー写真を撮っている私ですが、撮った写真をモノクロにしてみると思わぬ発見があったりします。
モノクロ写真に本気で取り組んでいる人から見ればラフに楽しんでいる私ですが、今回はラフに楽しんでいるからこそ敷居を低くモノクロ写真の魅力を伝えることができたらと思います。
初めからモノクロで写真を撮らずとも、画像編集ソフトやスマホのフィルターでも簡単にモノクロ写真を楽しめる時代です。
今日撮った写真をモノクロに変えてみようかな。そう思ってもらえると幸いです。
色は写真の印象を決める強い情報である
モノクロ写真は言葉の通り、白黒グレーで表現された写真で色の情報がありません。普段気にしないと思いますが、色というのは見る人に非常に強い印象を与える情報です。
まずは実際に写真を見て色の情報としての強さを感じてみましょう。
まずはモノクロ写真を眺めてみる
2枚の紅葉の写真を用意しました。少し時間をかけて紅葉の質感や光の入り方を観察してみてください。また、何色の紅葉か、背景の空は何色か、と色についても想像してもらえると、このあとより色情報の強さを感じることができると思います。


では答え合わせの前にもう一枚。この飲み物は何色に感じますか?

実際の色
先に見てもらいましたモノクロ写真のカラー版を見てみましょう。
モノクロ写真とカラー写真を見比べてどう感じますか?


飲み物の色は実際は青色でした。皆さん何色を想像しましたか?

想像していたより色鮮やかに見えるのではないでしょうか?また、モノクロ写真で注目してもらった紅葉の質感や光の入り方など、印象が薄くなったように感じなかったでしょうか?
少し極端な例を挙げましたが、普段何気なく見ている色は強い情報であることを感じてもらえると何よりです。
色情報が抜けることで際立つ情報
モノクロ写真は強い色情報がないからこそ、カラー写真では埋もれてしまう情報にスポットライトを当てることができます。
逆にいうと色情報に頼れないため、他の情報がより重要な要素となるということ。少し意識して撮るだけで印象をがらっと変えることもできます。
被写体の形

色情報がなくなることで、被写体の輪郭やシルエットが際立ち、被写体の形そのものをよりはっきりと写すことができます。
建築物の外観や彫刻など、色や模様ではなく、形状の美しさや特徴などを伝えたい場合は、モノクロで写すほうがより形状的な魅力を引き立たせることができるでしょう。
被写体の素材感・質感

色情報がなくなることで、被写体表面の凹凸や光沢が際立ち、素材感や質感がよりリアルに表現することができます。
木の木目や衣類の網目の細かさ、金属の加工面など素材ごとの質感の特徴、手作りの温かみや使い込んだモノの愛着といった見えないものに対して、モノクロのほうが印象づけることができるかもしれません。
光の強弱・影の入り方

色情報がなくなることで、光と影のコントラストが強調され、光の入り方や強弱をよりはっきりと表現することが出来ます。
窓から差し込む光や木漏れ日、オレンジが美しい夕日などをあえてモノクロで表現することで、光の先にある被写体や空に浮かぶ雲の立体感などを強調した写真にすることができます。

被写体の配置や構図

色情報がなくなることで、被写体の配置や構図といった、写真全体のバランスが目立つようになります。
三分割構図や消失点構図といった構図のテクニックや被写体の大小、空間の配置により、見る人の視線を誘導することで、より印象に残る写真にすることができるでしょう。
モノクロ写真は時間をかけて楽しもう
モノクロ写真は被写体や背景の色を見ている人の想像に委ねることになるため、見る人によって写真の印象が大きく変わります。見る人の気分や見る時間帯によっても印象が変わるかもしれません。
このように色情報がないからこそ、見る人の想像が入り込む余地が生まれる。これがモノクロ写真の面白さであり、記録よりもアートの側面が強い理由だと思っています。
そんな噛めば噛むほど味が出るような魅力のあるモノクロ写真。
普段何気なく撮っている写真をモノクロにしてみる、SNSで流れてきたモノクロ写真を少しじっくり眺めてみるくらいの軽い気持ちで楽しんでみると、案外その魅力にどっぷりハマるかもしれません。





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