カメラ・レンズ選びの参考に:レンズマウントとカメラの互換性の話

一眼レフカメラは撮りたい写真に合わせてレンズを交換できるというメリットがあります。しかし、すべてのレンズが使えるというわけではありません

カメラ・レンズにはレンズマウントという規格が決まっており、規格が合わないと使用することができません。

私も今のカメラに買い換える際、前の機種で使っていたレンズが使えないことから悩みに悩んだで断捨離した経験があります。

カメラ・レンズ選びで悩むのはカメラ好きが必ず通る道だと思いますが、同じ悩みでも知識があるのとないのとでは、選んだあとの後悔も小さくなります。

そこでこの記事では、カメラやレンズを選ぶ際の重要な要素であるレンズマウントについて整理し、選び方について解説します。

これからカメラ・レンズを購入する、買い替える方はぜひ目を通してみていただき、上手に悩んで後悔の少ない買い物につなげてもらえると幸いです。

目次

レンズマウントとはカメラとレンズの接続部のこと

レンズマウントとはカメラ本体に交換レンズの固定するための接続部のことです。

レンズマウントはカメラ−レンズ間で通信するための電子接点がついており、この電子接点の位置と形状とマウントの直径、形状が規格として決まっています。

鍵と鍵穴が同じ形状でなければ鍵が差し込めず解錠できないように、カメラとレンズも同じ規格でなければ取り付けられず使えないということです。

レンズマウントの役割は固定と情報伝達

レンズマウントには大きく2つの役割があります

カメラとレンズの固定

レンズマウントの接続機構によって、カメラとレンズを脱着した際にズレやガタつきなく確実に固定する役割

カメラとレンズ間での情報伝達

レンズマウントの電子接点を通じて、カメラーレンズ間で情報を伝達する役割
※レンズの絞りや焦点距離などの設定情報、オートフォーカスや手ブレ補正などの動作情報の伝達

マウント規格はメーカーとボディパターンにより異なる(一部例外あり)

レンズマウントは一般的にメーカーごとの独自の規格となっており、同じメーカーでも複数の規格が存在します。一般的にはメーカー ✕ ミラータイプ ✕ センサーサイズの組み合わせでマウントの種類が決まっていることが多いです。

カメラメーカー

Canon、SONY、Nikon、FUJIFILM、Panasonic、RICOH、OMsystem、Leicaなど

ミラータイプ

一眼レフ、ミラーレス一眼

センサーサイズ

フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズなど

ただし、後述するLマウントやマイクロフォーサーズマウントは例外であり、複数のメーカーのカメラで使用できるマウントになります。

レンズマウント一覧

各カメラメーカーの主要レンズマウントを紹介します。以下で紹介していないマウントも存在しますが、現在では手に入りにくいマウントもあるため、今から購入・買換を検討している方は修理や保証など受けられない可能性があるため注意が必要です。

以下、各メーカーごとに互換性の表を作成しました。
表の記号は下記を参考に確認ください。

:取り付け可能
:マウントアダプターを用いることで取り付け可能
:取り付け不可

Canon:キヤノン

RFマウント

ミラーレス一眼用マウント

フルサイズ向けの「RFレンズ」とAPS-C向けの「RF-Sレンズ」と分かれていますが、レンズマウントが同じであるためEOS Rシリーズのボディには取り付け可能です。

他のマウントに比べ歴史が浅いためレンズの種類は少なめですが、今後の主力マウントです。

EF-Mマウント

ミラーレス一眼用マウント(APS-C)

カメラを小型化するためにAPS-Cサイズセンサー用に設計されたマウント。

2023年にキヤノン公式サイトで販売終了しており、今から購入する場合は注意が必要です

EFマウント

一眼レフカメラ用マウント

1987年から発売されており歴史が長く、高性能で多様な焦点距離のレンズが揃っています。サードパーティ製のレンズも多数出ており、性能だけでなく価格の面でも選択肢の多いことが特徴です。

EF-Sマウント

一眼レフカメラ用マウント(APS-C専用)

APS-Cカメラに最適化されており、軽量かつコンパクトで持ち運びやすい点が特徴です。

スクロールできます
ボディタイプEOS R
シリーズ
EOS M
シリーズ
EOS D
シリーズ
EOS kiss
シリーズ
ミラータイプミラーレスミラーレス一眼レフ一眼レフ
センサーサイズフルサイズ
APS-C
APS-CフルサイズAPS-C
RFマウント
EF-Mマウント
EFマウント
EF-Sマウント

SONY:ソニー

Eマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント

フルサイズ向けとAPS-C向けのレンズに分かれており、フルサイズ向けは「EF」から始まるレンズ、APS-C向けは「E」から始まるレンズになります。

マウントは共通のためαシリーズのボディにはセンサーサイズにかかわらず取り付け可能。サードパーティ製のレンズも多数出ており、レンズの種類が豊富で選択肢が多いことが特徴です。

 Aマウント

一眼レフ用レンズマウントシステム

ソニーのカメラボディの中でα77II、α99IIの2機種のみに採用されているマウントです。現在はソニー公式サイトでも販売終了しており、今から購入する場合は注意が必要です。

スクロールできます
ボディタイプα シリーズ旧 α シリーズ
(α77II, α99II)
ミラータイプミラーレス一眼レフ
センサーサイズフルサイズ
APS-C
フルサイズ
APS-C
Eマウント
Aマウント

Nikon:ニコン

Zマウント

ミラーレス一眼用レンズマウントシステム

フルサイズ向けの「FXフォーマット」とAPS-C向けの「DXフォーマット」があり、レンズ名にDXが入っている方がAPS-C向けになります。

マウントは共通のためセンサーサイズにかかわらずZシリーズのボディに取り付け可能。キヤノンRFマウントと同様にレンズの種類は少なめでくが、今後の主力マウントです。

Fマウント

一眼レフ用レンズマウントシステム

Zマウントと同様にフルサイズ向けの「FXフォーマット」とAPS-C向けの「DXフォーマット」があり、マウントは共通でDシリーズのボディにはすべて取り付け可能です。

スクロールできます
ボディタイプZ シリーズD シリーズ
ミラータイプミラーレス一眼レフ
センサーサイズフルサイズ
APS-C
フルサイズ
APS-C
Zマウント
Fマウント

FUJIFILM:富士フイルム

Xマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント(APS-C)

富士フイルムはAPS-Cが主力であり、レンズもXマウントがメインです。
サードパーティ製も含めて多種多様なレンズが揃っており、選択肢が豊富。

Gマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント(中判サイズ)

富士フイルムが展開するGFXシリーズ対応のレンズマウント。
GFXシリーズはフルサイズセンサーよりも大型な中判サイズのセンサーを搭載しており、高画質な描写が特徴です。

スクロールできます
ボディタイプX シリーズGFX シリーズ
ミラータイプミラーレスミラーレス
センサーサイズAPS-C中判サイズ
Xマウント
Gマウント

Panasonic:パナソニック

Lマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント

Lマウントはライカ、パナソニック、シグマの3社がアライアンス契約を結び、共同開発しているマウント。

パナソニックではLUMIX Sシリーズに取り付け可能で、Leica SLシリーズ、SIGMA fpシリーズに取り付け可能であり、メーカーを跨いで使用可能な珍しいマウントです。

マイクロフォーサーズマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント(マイクロフォーサーズ)

マイクロフォーサーズマウントはパナソニックとOM system(旧オリンパス)が共同開発したマウント。

パナソニックではLUMIX Gシリーズに取り付け可能で、OM systemの現行すべてのカメラ(2025年1月現在)に取り付けることができます。こちらも2社のカメラで使用できる珍しいマウントになります。

スクロールできます
ボディタイプS シリーズG シリーズ
ミラータイプミラーレスミラーレス
センサーサイズフルサイズマイクロフォーサーズ
Lマウント
マイクロフォーサーズ
マウント

RICOH:リコー

Kマウント

一眼レフ用レンズマウント(フルサイズ・APS-C )

リコーと合併する前のペンタックス時代から存在するマウント。1975年に登場してから現在に至るまで、ペンタックスのカメラに採用されているマウントであり、フィルム一眼・デジタル一眼ともに同じレンズが使用できることが特徴です。

OM system:オーエムシステム(旧オリンパス)

マイクロフォーサーズマウント

一眼レフ用レンズマウント(マイクロフォーサーズ)

パナソニックとOM systemの共同開発マウント。
OM systemでは2025年1月現在の現行機種すべてに取り付け可能であり、パナソニックのGシリーズにも取り付けることができます。

Leica:ライカ

Lマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント

ライカ、パナソニック、シグマの3社がアライアンス契約を結び、共同開発しているマウント。ライカではSLシリーズに取り付けることができ、パナソニック LUMIX Gシリーズ、シグマ fpシリーズにも取り付け可能です。

ライカ製のレンズは描写力が高いと評判ですが、非常に高価であることがネックです。

Mマウント

レンジファインダー用レンズマウント

ライカMマウントはレンジファインダーと呼ばれるMシリーズのボディ用のマウントです。1954年に登場してから、基本設計はそのままで今も販売が続いている歴史のあるマウント。

こちらもライカLマウントレンズと同様に非常に高価ですが、ミラーレス向けに後述のマウントアダプターも多数販売されており、オールドレンズとミラーレス一眼の組み合わせて楽しむことも可能です。

スクロールできます
ボディタイプS シリーズG シリーズ
ミラータイプミラーレスミラーレス
センサーサイズフルサイズマイクロフォーサーズ
Lマウント
Mマウント

SIGMA:シグマ

Lマウント

ミラーレス一眼用レンズマウント

ライカ、パナソニック、シグマの3社がアライアンス契約を結び、共同開発しているマウント。

シグマではfpシリーズのカメラに取り付け可能で、パナソニック LUMIX Sシリーズ、ライカ SLシリーズにも取り付けることができます。

SAマウント

一眼レフ用レンズマウント

SAマウントはフィルム一眼であるSAシリーズ、デジタル一眼であるSDシリーズ、ミラーレス一眼のSD Quattroシリーズに取り付け可能。

公式サイトよりSAマウントの開発は中止の発表が出ているため、今後レンズラインアップが増えることはないと思われます。

シグマは自社のカメラであるLマウントレンズに加え、サードパーティ製レンズとして他社のマウントも製造販売しています。他社マウントのレンズに関してはメーカー純正レンズに比べると安価で手に入ります。安価であるから写りが悪いというわけではないため、一考の余地ありです。

シグマ:ミラーレス一眼用レンズラインアップ

  • ライカ Lマウント
  • キヤノン RFマウント
  • キヤノン EF-Sマウント
  • ニコン Zマウント
  • ソニー Eマウント
  • 富士フイルム Xマウント
  • マイクロフォーサーズマウント

シグマ:一眼レフ用レンズラインアップ

  • ライカ Lマウント
  • シグマ SAマウント
  • キヤノン EFマウント
  • ソニー Eマウント
  • ソニー Aマウント
  • ニコン Fマウント
  • リコー Kマウント

TAMRON:タムロン

タムロンは自社カメラはありませんが、サードパーティ製レンズを製造・販売しています。こちらもシグマと同様にメーカー純正レンズよりも安価で質の高いレンズが手に入るため、純正が高いと感じたら検討の余地ありです。

ミラーレス一眼用レンズラインアップ

  • キヤノン RFマウント
  • ソニー Eマウント
  • ニコン Zマウント
  • 富士フイルム Xマウント

一眼レフ用レンズラインアップ

  • キヤノン EFマウント
  • ニコン Fマウント

レンズマウントの互換性を飛び越えるマウントアダプター

マウントアダプターとはカメラとレンズの間にはさむ変換器のことです。このマウントアダプターを使用することで異なる規格のカメラとレンズを組み合わせることができます

他社のマウントに対するマウントアダプターが純正メーカーから出てくることはないため、他メーカーのレンズを使いたい場合はサードパーティ製のアダプターを使うことになります。

ただし、メリットだけではアリません。デメリットとしてはオートフォーカスや手ぶれ補正など、純正レンズに比べると性能低下など制限が出ることがあります

レンズマウントの互換性をレンズ・カメラ選びの参考に

レンズマウントの規格は多種多様で互換性がないものもおおいため、使えるレンズに制限が出てしまいます。

個人的にはレンズマウントに縛られることなく、自分の気分が上がるカメラを持つことがベストだと思っています。これはレンズでも同じで、使いたいレンズに合わせてカメラを買うのでもいいと思います。

ただし、今は高価で手が出せないけどいずれこのカメラ・レンズを使いたいという気持ちがあれば、マウントも考慮して選ぶとあとあと後悔が少なくなるでしょう。

ぜひ今回の記事がカメラ・レンズ選びの参考として、皆さんの後悔のない選択の役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人

カメラ・写真好きのサラリーマン
カメラ歴は10年ほど

気になったことはすぐ調べるタイプなので、調べたことを備忘録の意味も込めてブログにまとめていきたいと思います。

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