いい写真は「光」を見つけることから。被写体探しの前に意識したいこと

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写真を撮ろうとすると、どうしても「何を撮るか」に意識が向きやすくなります。旅先の観光地や印象的な建物、美味しそうな食事に家族など。

私自身、普段は息子や妻の写真を撮ることが多いです。その時々の家族の表情や息子の成長を残したい。そう思うと、どうしても家族という被写体を意識して写真を撮ることが多くなります。

もちろん、それも間違いじゃない。

ですが、同じ場所でシャッターを切っても、時間や環境によって写真の印象は変わります。その違いを生んでいる正体こそが「光」です。

窓から差し込む光、夕日が作り出す長い影、朝方の柔らかな光。 いつもとちょっと見方を変えて「光」を意識して写真を撮ってみると、見慣れた日常も、けっこう素敵な表情を見せてくれたりします。

この記事では、写真を撮る前に少しだけ「光」を意識してみること。意識することで写真がどう変わるのか、私なりの考えを交えてまとめたいと思います。

目次

同じ被写体・場所でも、光で写真の印象は変わる

同じ場所で何度かシャッターを切ると、光の入り方によって写真の雰囲気が変わることに気づきます。

雲がかかった夕暮れ時の写真
日の入り直前の写真

画角は少し違いますが同じ場所です

  • 朝方の澄んだ、やわらかい光
  • 日中のコントラストが強い光
  • 夕方の低く、長い光

被写体が同じでも、光が変われば写真の印象はまったく別物になります。

逆光は被写体の輪郭を際立たせ、長く伸びた影は風景に奥行きを与える。 私は、写真の印象は「何を撮るか」よりも、「どんな光の中で撮るか」のほうが影響が大きいと思っています。

「特別な何かが写っていない写真」が教えてくれたこと

何気なく撮った部屋の写真

カメラを構えると、どうしても「特別な何か」を探してしまいます。
最近の私は、息子の笑顔になった瞬間をよく狙っています。そうした「わかりやすい主役」を追うのも楽しいものです。

しかし、あるとき家の中でたまたま撮った、誰も写っていない部屋の写真。

息子の機嫌を取るのに使ったおもちゃ。誰も写っていませんが、窓から差し込む夕日が、その日の息子の様子、疲れ切った妻と私を写しているような気がしました。

はっきりした被写体がなくても、光はその場の空気感や情景を物語ってくれます。

「何を撮るか」の前に、「どんな光があるか」を少しだけ意識してみる。
それだけで、心が動く写真が残せるようになるかもしれません。

光を捉えるには:「色」を一度忘れてみる

どんな光があるかを意識する。そう言われても、最初はなかなか難しいものです。

なぜなら、光には色の情報も含まれており、色情報の強さに意識が向いてしまうためです。鮮やかな赤い花や、抜けるような青空。そうした色情報が強い場合は特に明暗を見極めるのが難しくなります。

私たちは「光」を見ているつもりで、実はその上に乗った「色」ばかりを見てしまっているのかもしれません。

そこで一度、頭の中から色情報を外してみる。 すると、はっきりと光が見えるようになります。

とはいえ、「頭の中で色情報を外す」と言われても難しいものです。 そこで、私が普段から行っている、光を見つけるための具体的な方法を紹介します。

カメラを「モノクロモード」に設定する

モノクロの町並み

いちばん簡単なのは、カメラの設定をモノクロ(白黒)にしてしまうことです。フィルムカメラだと難しいですが、スマホでも一眼レフでもデジタルであればモノクロモードを選択してみましょう。
色の情報が消えると、

  • どこに光が当たっているか
  • どこに影が落ちているか
  • 画面の中で一番明るい場所はどこか

といった情報が、はっきりとわかるようになります。
「どこを撮るか」ではなく「どこに光があり、影になっている場所はどこか」に集中できるモノクロモードは、光を意識するための第一歩です。

撮影済みの写真をモノクロ化してみる

何気なく撮った部屋の写真(モノクロ)

その場でモノクロにできなくても、過去に撮ったお気に入りの写真をスマホの編集機能やLightroomでモノクロにしてみるのもいいです。

カラーのときには気づかなかった、光の滑らかなグラデーションや、被写体の輪郭を縁取る鋭い光が見えてくるはずです。 「この写真がいいと感じたのは、色が綺麗だったからではなく、光の当たり方が印象的だったからなんだ」という自分の好きが腑に落ちると、次に写真を撮るときの視点が確実に変わります。

「影」そのものを主役にする

影が特徴的な螺旋階段の写真

光そのものを捉えるのが難しいときは、あえて「影」を意識して景色を眺めてみてください。

影のコントラストが強ければ硬い光、影が淡く溶け込んでいれば柔らかく拡がった光など、 影を見ると光の質を見ることができます。

木の影、建物の影、あるいは道ゆく人の影。その形や濃淡を観察することで、光の質を深く理解することができます。影を追う習慣がつくと、自然と「光がどこから来ているか」にも意識が向くようになっていきます。

目を細めて見る

もう一つ、カメラを持っていなくても今すぐできる方法があります。 それは、少し目を細めて景色を眺めることです。

あえて視界をぼやかすことで、被写体の細かいディテールや色の印象に引っ張られにくくなり、風景が「明るい塊(光)」と「暗い塊(影)」のパターンとして見えてきます。 光がどこを照らし、どこを隠しているのか。視界の大まかな構成を掴むための、デッサンでも使われるシンプルなテクニックです。

光を意識すると、写真のどこが変わるのか

「光」が意識できるようになると、写真には単なる明るさ以上の変化が生まれます。具体的にどのような効果があるのか、3つの視点で深掘りしてみます。

どんなものでも主役にできる

町中のポスト(自然のスポットライトの例)

写真において「どこを見てほしいか」を伝えることは非常に重要です。人間の目は、画面の中で最も明るい部分や、コントラストが強い場所に自然と引き寄せられる傾向があります。

例えば、暗い背景の中に一筋の光が差し込み、そこに被写体があったとします。すると、何気ない被写体であっても光そのものがスポットライトの役割を果たし、その被写体が主役になります。光を探すことは、そのまま「視線の行き先」をデザインすることに繋がります。

立体感を強調できる

バイパスの写真(立体感が際立つ例)

光の当たる方向を意識すると、被写体の「形」の見え方が劇的に変わります。 カメラの正面から当たる光(順光)は、細部まで均一に写し出しますが、影が目立ちにくくなるため、平面的に見えがちです。

一方で、斜めや横から差し込む光(サイド光)は、被写体の形状や表面の凹凸など、光と影によって奥行きや立体感を生み出します。この影があることで、「ものの厚み」や「肌の質感」「服のシワ」をより立体的に感じられるようになります。光と影の境界線を意識すると、二次元の写真でも、三次元的な表現に近づけることができます。

その場の「空気感」を写せる

昼下がりの息子(日常の空気感の例)

光は、目に見えない温度や湿度、そして時間の流れまでも表現してくれます。

  • 朝の澄んだ光は、一日の始まりを告げる爽やかな空気感
  • 夕方の長い影は、一日の終わりを感じさせる切なさと静寂
  • 曇り空の拡散した光は、包み込むような優しさと落ち着き

同じ場所で家族を撮っていても、光を意識するだけで「あの時の、あの空気」をまるごと切り取ることができるようになります。光を見ることは、単に被写体を照らすのではなく、その瞬間が持っていた感情を記録することなのです。

日常の中にある「光」を探しに行こう

散歩中に見つけた影の写真

光はわざわざ遠くへ出かけなくても、すぐそばに存在しています。 たとえば、窓から漏れる光、ビルの隙間に落ちる影、雨上がりのアスファルトに反射する光。

もちろん、技術的に正解な写真がすべてではありません。 家族と笑いながら撮った暗くてブレブレの写真でも、その場の空気感が写っていれば、それは家族にとっては最高に「いい写真」です。他人からどう評価されるかは関係ありません。

ただ、もしあなたが「なんだか今の空気がうまく写せないな」と感じたときは、この「光を見る」という意識が、ひとつのヒントになるかもしれません。

いい被写体を探すのとあわせて、いい光も探してみてください。 そうすれば、見慣れた日常もシャッターチャンスにあふれているかもしれません。

次にカメラを持ち出すときに、大切にしたいこと

写真を始めたばかりの頃は、私も被写体ばかりを意識していました。 ただ最近は、ふと、いい光だなと感じたとき、今見ている景色の写真を撮りたいと思うことが多いです。

機材やテクニックも大切ですが、まずは「光」をよく知ること。 その光こそが、後で見返したときに「あの時の空気」を思い出させてくれる鍵になります。

次にカメラを持って外に出るときは、まず「光」を探すことから始めてみてください。 きっと、今までとは違う新しい景色が見えてくるはずです。

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