写真の印象は光で変わる!魅力的な写真を撮るための光の方向についての話

皆さん、SNSには「これはいい写真!」と思うような魅力的な写真があふれているのに、自分で撮った写真がなんだか物足りない…と感じたことはありませんか? 私は結構頻繁に感じており、どうすればこんな写真が撮れるんだろうとつねづね思っています…
昔はいいカメラ・レンズを使ってないからいい写真が撮れない…なんて思っていましたが、カメラを変えるだけではいい写真は撮れないことが多いです。いい写真を撮るためには少なからず知識や経験が必要になります。経験については一朝一夕で得られるものではないですが、知識についてはすぐにインプットできます。
今回はそんな魅力的な写真を撮るための知識の1つである「光の方向」について解説したいと思います。
写真の元はカメラに入った光。それほど写真にとって光は大事なものです。
この記事では、以下の内容についてまとめています。
・なぜ光の方向が写真の印象を変えるのか
・光の方向の種類と写真にもたらす印象の違い
光の特徴を頭に入れることで、撮影の失敗を少なくしつつ、自分が撮りたい写真のイメージに早く近づけることができます。この記事が皆さんの写真の魅力が上がるきっかけになると幸いです。
光の当たり方によりモノの印象が変わる理由
モノを見る=光を見ている
人間は目に入った光から景色やモノを見ています。これはカメラも同じで、カメラに光が入ることで、写真(画像)にしています。光がなければ何も見えず、写真も真っ黒になってしまいます。
ではその光はどこから来たのかというと、太陽光や蛍光灯などの光源から出てきた光です。この光源から出た光が他のモノに当たると光は反射し、その反射光が目に入ることでモノが見えています。
つまり、人間もカメラも光を見ることでモノを見ているということです。
モノの見え方は光源と視点の位置で変わる
目に入る光は、目の位置と光源の位置によって変化します。
例えば、以下のように光源の位置が変わった場合、少しずれた位置で反射した光が目に入ります。これは視点だけ変わった場合も同じです。


この光源と視点の位置関係から、明るい部分、影になる部分が決まり、モノの見え方(印象)が変わります。
他にも散乱光や透過光などありますが、イメージは上記でつかめると思いますので割愛します。
【参考文献】光の方向と人の表情・印象について
古い研究になりますが、面白い論文があったため紹介しておきます。
早稲田大学の鈴木晶夫さんの 「能面の表情認知における陰影の効果」という論文です。
能面に対して照明を①正面から、②横から、③上から、④下から当てた写真を撮り、能面がどのような感情を持っているように見えるかを検証した論文です。光の当たる方向は人の表情判断・感じる印象に影響を与え、同じ光の当たり方でも面の特徴に印象が左右されるということが統計的にまとめられています。
論文内にわかりやすい図があったので以下に添付します。
注意)能面写真の図です。表情が怖いと感じる方がいるかも知れません(ゆっくりスクロール推奨)
鈴木 晶夫. 能面の表情認知における陰影の効果. 早稲田大学人間科学研究. 1995, 第8巻, 第1号, p.61-73.
実際の論文内の図1を見てもらうと、光の方向により感じる印象が大きく変わることがよく分かると思います。
光の向きの種類と写真への印象
光の当たり方は大きく3種類、細かく分けると5種類あると言われています。
1. 順光
被写体の正面から光が当たっている状態のことです。被写体に対してカメラと光源が同じ方向にいます。


光があたっている面を撮るため、被写体を明るく、見たままに近い自然な色味に写すことができます。明るさの面で一番失敗しにくい光の当たり方です。
ただし、影ができる部分が少なくなるため、立体感が少ない平面的な写真になりやすいです。
作例


2. 逆光
被写体の背面から当たっている状態のことです。
カメラと光源の間に被写体がいます。


光が当たっていない影となっている面を撮るため、被写体が暗めに写りますが、背景との被写体の明暗が大きいため、被写体の輪郭を美しく、印象的に写すことができます。背景に明るさを合わせて被写体を暗く写すことでシルエットを浮かび上がらせたり、逆に被写体の明るさに合わせることで、背後から光が差し込む柔らかな雰囲気にすることもできます。
ただし、背景の白飛びや被写体の黒潰れになりやすく、露出に意識して写真を撮る必要があります。
いい意味でも悪い意味でも背景が写真の影響を大きく左右します。
作例


3. サイド光
被写体の側面から光が当たっている状態のことです。被写体に対してカメラが正面、光源が真横の位置関係です。


光があたっている面と当たっていない面の境目を撮るため、被写体の造形に合わせた影を撮ることため、立体感のある、質感がよくわかる写真が撮れます。
ただし、被写体上でコントラストが強くなる傾向があるため、強い・硬いといった印象の写真になってしまうことがあります。
作例


4. 半順光,半逆光
順光とサイド光の間が半順光、逆光とサイド光の間が半逆光です。


順光と逆光の特徴とサイド光の特徴を組み合わせた印象の写真になります。


作例
◯半順光

◯半逆光


光の方向と特徴のまとめ
カメラと光源と被写体の位置関係により写真の印象をガラッと変えることができます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- 順光:色の表現に
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被写体が明るく、見たままの自然な色味が表現できる。
影ができにくく、平面的な写真となる。 - 逆光:空気感の表現に
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背景と被写体の明暗が強く、被写体の輪郭を印象的に表現できる。
良くも悪くも背景の印象が写真の印象を左右する。
白飛び・黒潰れが起こりやすく露出調整が難しい。 - サイド光:造形・質感の表現に
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被写体内で光と影ができ、立体感が強く、質感を美しく表現できる。
コントラストが強くなる傾向があり強い・硬い印象の写真になりやすい。
半順光・半逆光は上記の順光・逆光・サイド光の特徴をどの割合で振り分けるかを考えると良いと思います。
それぞれの光の特徴を考えて撮影してみましょう!
光の方向が変わるだけで写真の印象が変わることがイメージできたと思います。
それぞれの光が写真に与える影響をイメージした上で写真を撮ると、もっとこういう写真が撮りたいと思った時に、納得できる写真が撮れる確率を上げることができるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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