光の方向が写真の印象に与える影響は大きいという話

皆さん写真を撮る時に光を気にしていますか?
きれい!と思って写真を撮ったとき

・背景は明るいのに被写体が真っ暗
・自分の影が被写体と被ってしまった

と思ったこと…私はよくあります…
光の特徴を頭に入れておくと、撮影の失敗を少なくしつつ、自分が撮りたい写真のイメージに早く近づけることができます。

今回は光の当たりにによって変わる写真の印象についてまとめたいと思います。

目次

前提:光の向きについて

光の当たり方は大きく3種類、細かく分けると5種類あると言われています。

1. 順光

被写体の正面から光が当たっている状態のことです。被写体に対してカメラと光源が同じ方向にいます。

順光イメージ

光があたっている面を撮るため、被写体を明るく、見たままに近い自然な色味に写すことができます。明るさの面で一番失敗しにくい光の当たり方です。

ただし、影ができる部分が少なくなるため、立体感が少ない平面的な写真になりやすいです。

2. 逆光

被写体の背面から当たっている状態のことです。
カメラと光源の間に被写体がいます。

逆光イメージ

光が当たっていない影となっている面を撮るため、被写体が暗めに写りますが、背景との被写体の明暗が大きいため、被写体の輪郭を美しく、印象的に写すことができます。背景に明るさを合わせて被写体を暗く写すことでシルエットを浮かび上がらせたり、逆に被写体の明るさに合わせることで、背後から光が差し込む柔らかな雰囲気にすることもできます。

ただし、背景の白飛びや被写体の黒潰れになりやすく、露出に意識して写真を撮る必要があります。

いい意味でも悪い意味でも背景が写真の影響を大きく左右します。

3. サイド光

被写体の側面から光が当たっている状態のことです。被写体に対してカメラが正面、光源が真横の位置関係です。

サイド光イメージ

光があたっている面と当たっていない面の境目を撮るため、被写体の造形に合わせた影を撮ることため、立体感のある、質感がよくわかる写真が撮れます。

ただし、被写体上でコントラストが強くなる傾向があるため、強い・硬いといった印象の写真になってしまうことがあります。

4. 半順光,半逆光

順光とサイド光の間が半順光、逆光とサイド光の間が半逆光です。

半順光イメージ
半逆光イメージ

順光と逆光の特徴とサイド光の特徴を組み合わせた印象の写真になります。

光の方向ごとの写真の印象

実際に撮影した写真

実際に光の方向を変えてマグカップの写真を撮ってみました。
光源は窓からカーテン越しに入ってくる冬の朝日です。

順光で撮ったマグカップ
逆光で撮ったマグカップ
サイド光で撮ったマグカップ
半順光で撮ったマグカップ
半逆光で撮ったマグカップ

光の当たり方で随分印象が変わることがわかると思います。

前項にそれぞれの一般的な特徴を書きましたが、私のイメージは順光は色、逆光は空気感、サイド光は造形・質感をより強く表現できると考えています。半順光、半逆光はその間ですね。

逆光位置:光の刺す方向にカメラを動かしました

今までの写真は斜め上から撮っていましたが、最後にカメラを低い位置に、光をまっすぐ受ける形で写真を撮ってみました。背景と被写体の明暗により、輪郭を出しつつ冬の朝日の空気感を表現できたと思っています。
あくまで自己評価です…

【参考文献】光の方向と人の表情・印象について

古い研究になりますが、面白い論文があったため紹介しておきます。
早稲田大学の鈴木晶夫さんの 「能面の表情認知における陰影の効果」という論文です。

原著 リンク先
https://core.ac.uk/download/pdf/144453232.pdf

能面に対して照明を①正面から、②横から、③上から、④下から当てた写真を撮り、能面がどのような感情を持っているように見えるかを検証した論文です。光の当たる方向は人の表情判断・感じる印象に影響を与え、同じ光の当たり方でも面の特徴に印象が左右されるということが統計的にまとめられています。

論文内にわかりやすい図があったので以下に添付します。
注意)能面写真の図です。表情が怖いと感じる方がいるかも知れません(ゆっくりスクロール推奨)


鈴木 晶夫. 能面の表情認知における陰影の効果. 早稲田大学人間科学研究. 1995, 第8巻, 第1号, p.61-73.

実際の論文内の図1を見てもらうと、光の方向により感じる印象が大きく変わることがよく分かると思います。また正面から(順光)と横・上・下方向(サイド光)による立体感の出方の違いを感じることもできると思います。

まとめ

カメラと光源と被写体の位置関係により写真の印象をガラッと変えることができます。
それぞれの特徴は以下の通りです。

順光:色の表現に

被写体が明るく、見たままの自然な色味が表現できる。
影ができにくく、平面的な写真となる。

逆光:空気感の表現に

背景と被写体の明暗が強く、被写体の輪郭を印象的に表現できる。
良くも悪くも背景の印象が写真の印象を左右する。
白飛び・黒潰れが起こりやすく露出調整が難しい。

サイド光:造形・質感の表現に

被写体内で光と影ができ、立体感が強く、質感を美しく表現できる。
コントラストが強くなる傾向があり強い・硬い印象の写真になりやすい。

半順光・半逆光は上記の順光・逆光・サイド光の特徴をどの割合で振り分けるかを考えると良いと思います。

それぞれの光の特徴を考えて撮影してみましょう

光の方向が変わるだけで写真の印象が変わることがイメージできたと思います。
それぞれの光が写真に与える影響をイメージした上で写真を撮ると、もっとこういう写真が撮りたいと思った時に、納得できる写真が撮れる確率を上げることができるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

カメラ・写真好きのサラリーマン
カメラ歴は10年ほど

気になったことはすぐ調べるタイプなので、調べたことを備忘録の意味も込めてブログにまとめていきたいと思います。

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