露出の仕組みを理解してワンランク上の写真を撮ろう!|露出の基本と調整方法の話

いい写真が撮れた!そう思っていざ写真を見返すと、思ったより暗い、あるいは明るすぎて白飛びしている…なんて経験はありませんか?
写真の元はカメラに入る光であり、この光の量を適切に調整できていないと、暗すぎる・明るすぎる写真になってしまいます。この光量を調整するには「露出」について知っておく必要があります。
今回は自分のイメージ通りの写真を撮るための知識の1つ、「露出」について解説したいと思います。
この記事では、以下の内容についてまとめています
・カメラにおける露出の意味
・露出を決める要素と各要素を調整した際の変化
「露出」の知識をつけると、オート設定より自分好みのワンランク上の写真が撮れるようになるかもしれません!この記事が、皆さんの写真の魅力が上がるきっかけになると幸いです。
露出=カメラが取り込む光の量
露出とは写真を撮る際にカメラ内のセンサーが取り込む光の量であり、写真の明るさのことです。
写真を記録するセンサー
カメラにおけるセンサーとは、光を写真に変えるもののことです。デジタルカメラであればイメージセンサーと呼ばれる撮像素子、フィルムカメラであればフィルムに塗られた感光剤と言われる薬剤です。


イメージセンサーは光を電気信号に変換することで、画像データ(写真)にしており、感光剤は化学反応により薬剤が変質し、それを現像することで写真にしています。
センサーを光に「露出」させるということ
センサーは光を検出し、強い光や長い時間光にさらされると、検出量が増えて明るい写真になります。つまり、センサーをどれだけ光にさらすか(どれだけ光に露出させるか)が写真の明るさを決めます。
露出 = センサーが光にさらす度合い= 写真の明るさ
最近のカメラは自動で明るすぎず暗すぎない適正露出に調整してくれますが、自分で露出が設定できるようになると、写真の雰囲気を大きく変えることができます。
露出を決める3種類の要素
露出を自分でコントロールするには、次の3つの要素を理解する必要があります。
・ISO感度
・シャッタースピード
・絞り
ISO感度
ISO感度とは、カメラのセンサーがどれだけ光を感知しやすいかを表す数値のことです。
「あいえすおーかんど」または「いそかんど」と呼ばれることが多いです。
デジタルカメラであればカメラ内の設定で変更でき、フィルムカメラであればフィルムごとに決まった数値があります。

ISO感度と写真の出来栄えの関係
ISO感度は「写真の明るさ」と「ノイズの出やすさ」がトレードオフの関係になります。
- ISO感度が上げると
-
・写真が明るくなる
・ノイズが出やすく、ざらついた写真になる - ISO感度が下げると
-
・写真が暗くなる
・ノイズの出にくく、クリアな写真になる
ISO感度を上げるとノイズが出やすくなる理由
ISO感度が高いほど、センサーが本来よりも強い光を感知したと判断し、小さな光の変化も大きく捉えてしまうことになります。そのため、本来気にならないレベルの光のゆらぎが目立ってしまうことになります。
この目立った光の大小がノイズです。
そのため、暗い場所では単純にISO感度を上げれば良いというわけではなく、他の要素と合わせて明るさを調整する必要があります。

シャッタースピード
カメラにはセンサーの前に光を遮るシャッターがついています。シャッタースピードとは、このシャッターが開いている時間のことです。
シャッタースピードと写真の出来栄えの関係
シャッタースピードは「写真の明るさ」と「手ブレのしやすさ」がトレードオフの関係になります。
- シャッタースピードが長くすると
-
・写真が明るくなる
・手ブレしやすくなる - シャッタースピードが短くすると
-
・写真が暗くなる
・手ブレしにくくなる
シャッターが開いている間の被写体の動きも光として捉えるため、シャッタースピードが短いほどブレが少なく、鮮明な写真となります。
絞り
カメラにはセンサーの前にシャッター、その更に前にレンズがついています。このレンズの中には光が通る穴の大きさを調整する機構がついており、この機構を絞りといいます。
この絞りによる穴の大きさの度合いをF値または絞り値と言います。F値が大きいほど、光の通る穴を絞っていることを表します。
絞りはカメラにつけているレンズによってどこまで開けるか、絞れるかが決まります。


絞りと写真の出来栄えの関係
絞りは「写真の明るさ」と「ボケやすさ」がトレードオフの関係になります。
- 絞りを開くと(f値が小さくすると)
-
・写真が明るくなる
・背景や前景のボケが大きくなる(ピントが合う範囲が狭くなる) - 絞りを絞ると(f値が大きくすると)
-
・写真が暗くなる
・背景や前景のボケが少なくなる(ピントが合う範囲が広くなる)
被写界深度とは
被写界深度とは、ピントが合っているように見える範囲のことを言います。
言葉での説明は非常にわかりにくいため、まずは次の図を見てみてください。
まずは絞りが開いている状態です。

図の右側が被写体、左側がセンサーに写る像であり、センサー位置で光がまとまっているほどピントが合っているということになります。
次に絞りを絞った状態を見てみましょう。

絞りを絞るとレンズの中心付近を通る光しか入ってこなくなり、センサー上で光が広がりにくくなります。そのため、ボケ量が小さくなりピントが合っている用に見える範囲が広がります。
このピントが合っている範囲が広くボケにくいことを被写界深度が深い、ピントが合っている範囲が狭くボケやすいことを被写界深度が浅いといいます。
絞りは極端に絞る・開くことで回折現象や口径食といった現象を引き起こすことがありますが、マニアックな話になるためここでは割愛します。
各要素が写真に及ぼす影響
露出への影響
各要素の露出への影響度合いは決まっており、数値で考えると以下の通りです。
① ISO感度:数値2倍で明るさ2倍
例)ISO100 ⇒ ISO200で明るさ2倍
② シャッタースピード:数値2倍で明るさ2倍
例)1/100秒 ⇒ 1/50秒で明るさ2倍
③ 絞り:数値√2倍で明るさ1/2倍
例)f2.8 ⇒ f4.0で明るさ1/2倍
ただ、実際に写真を撮る際は数値で考えることはないと思います。
各要素を変更した写真を撮ってみて、どの程度明るさが変わるかイメージを持っておきましょう。
ISO感度
シャッタースピードは1/500秒、絞りはf4.0で固定し、ISO感度のみ変更した写真を撮ってみました。



感度が低い←
→感度が高い
シャッタースピード
ISO感度は1600、絞りはf4.0で固定し、シャッタースピードのみ変更した写真を撮ってみました。



シャッタースピードが遅い←
→シャッタースピードが早い
絞り
ISO感度は1600、絞りはシャッタースピードは1/500で固定し、絞りのみ変更した写真を撮ってみました。



絞りが開いている←
→絞りを絞っている
ノイズ・手ブレ・ボケへの影響
ISO感度、シャッタースピード、絞りは露出以外にもノイズ、手ブレ、ボケへの影響があると前項で説明しましたこれらの影響も実際に撮った写真で確認してみましょう。
ISO感度
露出を調整しながらISO感度を変更して写真を撮ってみました。
ISO感度をここまで上げることはあまりないと思いますが、ISO感度が高い方がざらついていることがわかると思います。




シャッタースピード
露出を調整しながらシャッタースピードを変更して写真を撮ってみました。


絞り
露出を調整しながら絞りを変更して写真を撮ってみました。


まとめ
露出とはカメラが取り込む光の量(明るさ)のことです。
- 露出を決める3つの要素
-
各要素は露出だけでなく+αの影響があります
- ISO感度:露出+ノイズ
-
ISO感度が高いほど、明るくノイズが出やすくなる
ISO感度が低いほど、暗くノイズが出にくい - シャッタースピード:露出+ブレ
-
シャッタースピードが遅いほど:明るくブレやすい
シャッタースピードが速いほど:暗くブレにくい - 絞り:露出+ボケ
-
絞りを開くほど:明るくボケやすい
絞りを絞るほど:暗くボケにくい
この関係を理解し、各要素が及ぼす影響に気を配ることで自分の理想とする写真に近づけることができます。
私が行っている具体的な手順は以下のとおりです。
とにかくノイズを出したくない
⇒ ISO感度を固定する
動きのある被写体を鮮明に写したい、躍動感を出すためにあえてブレを出したい
⇒ シャッタースピードを固定する(シャッタースピード優先モード)
背景ボケ・前ボケを作りたい、広い範囲を鮮明に写したい
⇒ 絞りを固定する(絞り優先モード)
設定だけで調整しきれない場合は照明や三脚などの撮影補助機材を使う
マニュアルモードで撮影してみよう!
写真の元は光であるため、この光をカメラにどう取り込むかによって写真の出来栄えが大きく変わります。
カメラに任せてその場その場で写真を撮ってもいい写真は撮れますが、たまにはいろいろな設定を変えながら、ああでもないこうでもないとゆっくり写真を撮ってみるのも楽しいと思います。
ぜひ時間のある時にマニュアルモードで撮影してみてください!

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