自分好みの写真を撮るために|焦点距離は写真の印象を左右するという話

写真を撮る上で重要な要素である焦点距離。どんなレンズにも焦点距離は存在し、同じ場所で同じ被写体を撮っても、焦点距離によって写真の印象は大きく変わります。
今回は焦点距離が写真に与える影響と私が意識している焦点距離の考え方について、作例を交えつつまとめました。
こういった考え方もあるのか!など皆さんの気づきのきっかけになれれば幸いです。
※本記事の焦点距離はすべて35mm換算での表記としています。
焦点距離とはレンズの中心からセンサーまでの距離のこと

焦点距離とは主点と呼ばれるレンズの中心位置からセンサーまでの距離のことです。カメラレンズは内部に1枚だけレンズが入っているわけではなく、複数枚のレンズで構成されているため、この複数枚のレンズの光学的な中心が主点となります。
ちなみに、上記のLUMIX S 20-60mmのレンズの場合は11枚のレンズで構成されています。
【参考】レンズ構成についての参考リンク
単焦点レンズはこの焦点距離が固定のレンズ、ズームレンズは焦点距離が変更できるレンズのことです。
ズームレンズは下図のようにレンズの位置を変えることで焦点距離を変えています。


補足:焦点距離とレンズの全長について
焦点距離が長いほうが主点をセンサーから離れた位置に置く必要があるため、レンズの全長が長い傾向があります。
ズームレンズについては先の例で上げたようなレンズの全長が変わる繰り出し式と呼ばれるものと、インナーズームと呼ばれるレンズの全長が変わらないレンズがあります。
インナーズームはズーム時に動く摺動部にホコリやチリを挟みにくく故障しにくいメリットがありますが、焦点距離が短くても全長が長く重い傾向があり、価格も高い傾向があります。
【参考】インナーズームの例 引用:YouTube:Olympus OM-D
焦点距離が変わると画角が変わる
焦点距離と画角の関係
写真に写る範囲のことを画角と言いますが、焦点距離が変わると画角も変わります。
- 焦点距離が短いほど:画角が広くなり、写真に写る範囲が大きくなる
- 焦点距離が長いほど:画角が狭くなり、写真に写る範囲が小さくなる
次の図のようにイメージセンサーの端と主点の位置を結ぶ線を考えてみると理解が進みます。


主点の位置は大体の位置でイメージにはなりますが、焦点距離が伸びると画角が狭くなることがわかると思います。また同じ考え方でセンサーサイズが小さくなると画角が狭くなります。
焦点距離が35mm以下が広角、35〜80mmが標準、80mm以上が望遠と言うように、焦点距離によって呼び方が変わります。
【参考】上記の図よりイメージセンサーの大きさも画角に影響します。
- イメージセンサが大きいほど:画角が広くなり、写真に写る範囲が大きくなる
- イメージセンサが小さいほど:画角が狭くなり、写真に写る範囲が小さくなる

焦点距離ごとの写真の印象
焦点距離が変わると同じ景色でも写真の印象は大きく変わります。
次の写真はレンズは替えていますが、撮影時の設定は焦点距離のみ変更し他の設定は全く同じで撮影しています。(F値は8.0、シャッタースピードは1/1600秒で固定)
立ち位置も変えていません。
焦点距離ごとの写真の違いを確認してみてください。
明確な被写体がある場合






焦点距離の変化とともに背景と被写体の割合が変わっていくことがわかると思います。
焦点距離が短い広角側では広い範囲が写り、遠近感のある広大な写真になります。
反対に望遠側に寄るほど、写る範囲が狭くなり被写体にスポットが当たります。
明確な被写体がない場合






広角側では明確な被写体がない場合も、望遠側で撮影すると被写体が見えてくる場合があります。思ってもいない被写体に出会える場合もあり、望遠レンズの魅力のひとつです。
このように焦点距離ごとの印象の違いを自分の中にイメージとして入れておくことで、いざ写真を撮る際に撮れる写真の幅が広がります。
私が焦点距離を決める上で意識していること
ズームレンズを使う場合や複数のレンズを持っている場合など、どの焦点距離で撮るか悩むことがあると思います。
そんなとき私は基本的には焦点距離35mmを中心に、35mmより長くとるか短くとるかを次の考え方で決めています。
被写体との距離にもよりますが、悩んだときの一つの考え方として参考になれば幸いです。
空間が気になるか被写体が気になるか
まずは空間か被写体か、どちらが気になるか、どちらに重きを置きたいかを考えています。
広大な景色などシチュエーションがよく、空間を写したい場合は焦点距離を短めに、家族や料理など被写体にスポットを当てたい場合は焦点距離を長めに撮影することが多いです。

空港内の通路をメインに撮影

コスモスをメインに撮影
被写体の大きさ
被写体の大きさも焦点距離を決める上で重要な要素だと考えています。
被写体が大きく、その大きさを表現したい場合は焦点距離を短く、被写体が画角に入る大きさで余計なものを写したくない場合は焦点距離を長めに撮影することが多いです。

ビルの大きさがわかるように撮影

ケーキとコーヒー以外に余計なものが入らないように撮影
空間の抜け感・雑多感
撮りたい景色、被写体周りの空間がどれだけ抜けているかも重要です。
被写体周りに余計なものが入りこまないくらい空間が抜けている場合は、遠近感・広大さ・空間の広さなどを表現するために焦点距離を短く、逆にものがあふれている場合は密集感(圧縮効果)を表現するために焦点距離を長めに撮影することが多いです。

オブジェ後方の抜けた空間も含めて撮影

提灯の密集感を出すように撮影
短くもなく長くもない焦点距離は難しい
焦点距離を考えるうえで35mmを中心にしている理由は、被写体との距離にもよりますが空間メインにも被写体メインにもできる絶妙な焦点距離だと思っているためです。
どちらにも振れるなら使いやすいのではと思うかもしれませんが、表現の自由度が高いため、なんとなく撮ると印象に残りにくい写真になってしまうことも多い焦点距離だと個人的には思います。
このあたりの焦点距離で人目を引く写真を撮れる方は本当にすごいと感じます。
何を考えて写真を撮っているのか教えてほしいくらいです…

意識しないと特徴のない写真に
焦点距離を理解すると自分好みの写真が撮れる
ここまでの作例でどの写真が好みだったでしょうか?
他にも以下のリンク先で旅先での写真を公開しています。それぞれの写真に焦点距離は記載していますので、ぜひ参考に見てみてください。
自分好みの写真、撮りたい写真がわかったうえで、焦点距離も理解できているのであれば、あとはカメラを構えるだけです!
自分がいいと思える写真を撮れるとカメラはどんどん楽しくなります!
皆さんの楽しいカメラライフのきっかけの一つになれば幸いです。
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